2024.10.22

つねづね草~元校長のひとり言~『荒馬』

 10月12日(土)の運動会は、今年も2部制で、午前中は小学部・中学部、午後は高等部・専攻科合同の開催でした。例年ですと第1週の土曜日に開会しているのですが、昨年度は9月に入っても熱中症アラートが出され、グランドでの練習ができない日が続きましたので、今年は予め開催を1週間遅らせました。大成功で、天高く青空の運動会日和になりました。

 児童生徒の制作したそれぞれの旗も万国旗に負けずはためいていました。また、各部のオリジナルTシャツ作りも定番となりました。どのTシャツもとても素敵で、とりわけ私は中学部の図案(ギターのボディにそれぞれ生徒の作品を入れた深緑色のシャツ)がいいなと思いました。おしゃれで、保護者以外の希望者にも勤労感謝祭などで販売すれば喜ばれると思いました。小学部はかけっこと保護者と一緒の大玉ころがしを元気いっぱいがんばっていました。今年は行わなかった鬼の踊りの「うらじゃ」はまた見たいと思いました。中学部の体幹パワー&ダンスは新たな試みでした。皆さん、とても楽しそうに取り組んでいました。

 午後の高等部・専攻科の部には中学部3年生の生徒や保護者も見学に残っていました。来年進学したら、自分たちも高等部演目の空手をやるというイメージが湧いたと思います。高校3年生の保護者から「今年の“突き”が一番様になっていて、積み重ねだなと思いました」と感想をお聞きしました。普段の体育や朝の運動で練習している運動を、発表の場では更に意欲的にできていたと感じました。そして卒業生の参加を呼びかけたリレーには16名の申し込みがあり、頑張って走る姿が見られました。

 午後の部の得点は10点差で白組が優勝でした。応援賞は大きな声で声援をしていた生徒が多かった紅組が獲得しました。応援団長の不在やエールの交換がないことは少し残念に思いましたが、時短を意識したプログラムだと思います。反省や保護者のアンケートを参考にして来年度はさらに工夫していくことと思います。

 さて今回は、運動会関連で「荒馬」のお話です。運動会当日、一緒に受付を担当していた事務の方に「どうして旭出は荒馬なのですか?」と聞かれました。私が旭出学園小学部に入った若手の頃、フォークダンスの「マイムマイム」が締めでした。その当時「マイムマイム」は楽しく踊るというよりも手をギュッと握られてしまうこともあり、一人一人自分の踊りを楽しみながら全体でも行えるものを見つけようと各部の若手教員たちで探し出したのが民舞でした。同僚の涼太さんや和子さんと一緒に何度か講習会に通い、「なんかできそうだね」と、民舞講習会で「荒馬踊り」を習いました。保育園や小学校の先生たちがたくさん参加していて各園や各校に取り入れていった時代でした。「荒馬踊り」の講師を旭出に招いて教職員全員で、すり足や二つ跳び、四つ跳び、喜びのジャンプ(いななき)を教えてもらうこともしました。どのステップもきちんと踊るのは教員にとっても難しい面がありましたが、太鼓や笛、鐘の音に誘われて「ラッセーラー ラッセーラー」の掛け声と共に、心踊らせ跳ねる踊りは旭出の子どもたちにも受け入れられました。あの講習会参加から三十数年が経過し、すっかり根付いたと思います。

 「荒馬」は青森県今別町に伝わる伝統芸能で、農民にとって苦楽を共にする大切な馬の姿を表し、跳ねたものだそうです。今年の午前・午後の運動会でも青空のもと、在校生と卒業生の参加者全員が楽しそうにとび跳ね、とても素晴らしかったです。

秋晴れて 気持ち整い全力で 跳ねる青年 少年少女

追伸:現在、八王子夢美術館で開催されている「かがくいひろしの世界展」のご案内です。

あの「だるまさんが」「だるまさんの」「だるまさんと」の絵本作家さんの展示会です。だるまさんシリーズ大好きというお子さんは多いのではないかと思います。全部で16冊の絵本が出版されています。同じ時期に特別支援学校の教員をしていたことを知り、子どもたちを笑わせたいという気持ちから生まれた絵本だそうです。工作コーナーや映像遊びのコーナーもあり、とても充実していました。11月4日まで開催されています。