3月19日卒業式を迎えました。小学部の桜もちらほら咲き始めました。桜=入学式という認識は随分前から消滅してしまいました。季節の移ろい、地球規模の気候変動、様々に世界が動いていて、今に至っているのでしょう。そんな中ですが、旭出学園も一年の集大成である「卒業式 修了式」が無事行われました。今年も、各部毎に、三密を避けての式になりました。まだ振り返る余裕はありませんし、まだまだ進行中ではありますが、世界が変わったそんな一年だったと思います。それでも休校、分散登校、時間割変更での一斉登校開始など、短期間での激変にもかかわらず、児童生徒の多くが学園に通学できたこと、その適応力に驚かされます。「学校が楽しいということが分かった。」という高校生がいました。言葉ではなくても、みんなの笑顔や声、動き、一つ一つから学園に集う喜びが感じられました。そうしてまた一つ、階段を上る時が来ました。みなさんの4月からの新しい生活に、たくさんの喜びがあることを願っています。
さて今回は、「専攻科三年生 修了生」のお話です。今年度は11名の専攻科三年生が、4月から社会へと旅立ちます。小学部から入学された方、中学部から入学された方、高等部から、専攻科からの入学者が少しずつ加わり、11名になりました。個人的には、校長に就任した初年度の「学校見学会入学説明会」に臨んだ時にお会いした方々が中学部から入学されて、もっと以前から学校見学をされていたり、各部の説明会に何度も足を運ばれたり、学校選びにとても熱心な保護者が多くいらっしゃったことが印象的でした。それは現在も学校説明会に参加される保護者の方々からも感じることですし、改めて「子どもに合う学校を求める」保護者の熱意を直に感じた経験でした。
小学部からの一貫教育を掲げる本校においても学部ごとに仲間が増える理想的な学年でもありました。小学部ではよく遊び、友だちや先生と一緒に活動することを楽しむことができるように、中学部では、思春期の自分と向き合い、自己肯定感が持てるように、高等部ではさらに自分の好きなことや苦手なことも理解し、やりたいことにチャレンジできるように、専攻科では、成人としての自覚や社会人になることへのプライドを持って自分の進路が選択できるようにという大まかな成長を願い、支援してまいりました。どこで花開くかは個人差もありますし、経験の蓄積がいい塩梅に醸し出すそれぞれの成長を保護者のみなさんと一緒に見守ってきたように思います。
ご縁があり、今年度10月から専攻科三年生のクラスに入ることになり、みなさんの成長ぶりを間近で感じることができました。小学部の遊びが、中学部での友達との関わりが、高等部での役割を果たす達成感が、専攻科での社会で働くことの自覚が、自分で進路を選択することに繋がっていると思いました。幼い頃からの積み重ねがあっての現在の姿であり、まさにキャリア教育なのだと感じます。そして発達の困難さを持つ子どもたちにこそ、成人に至るまでの教育支援ができる「専攻科」の重要性を再確認いたしました。
専攻科三年生11名のみなさんが、それぞれ選んだご自分の未来を、これからもずっと応援したいと思います。そして、社会でもみなさんが成長される姿から学び続けたいと思います。
足止めて 桃か桜か 通う道
2021.3.19
コロナ禍のこの一年、保護者のみなさまからはたくさんのご助言やご支援、そしてご協力をいただきましたことにあらためて感謝申し上げます。旭出学園は今後も、お子さんを真ん中に、保護者のみなさまと教職員が協力しあい、共に歩んでいく学園です。変わらぬご支援ご協力をお願い致します。
私事、節目に際しましては過分なお心づかいをいただきました。40年という月日を、充実した日々をこの旭出学園で過ごさせていただきました。お子さんたちから学び、同じ位たくさんのことを保護者のみなさんから学ばせていただきました。これからも微力ではありますが、学んだことを役立てる機会があればと思っています。本当にありがとうございました。
さまざまの 事おもひだす 桜かな 芭蕉