2021.02.22

「いただきます!カードゲーム」を使った高等部の課題学習

 入学考査が無事終了し、来年度から入学される生徒のみなさんとの顔合わせもできました。本校から進学するご本人や保護者の方たちとも久しぶりにお会いできて、「うわ~ 4月から制服着て、中学生になるのね。はやいですね。」「そうか、〇〇君は高校生ですね。はやいですね。」「え、もう専攻科なの?はやいですね。」などしみじみとそんな時の流れの早さを想って、話をさせていただきました。行事がほとんどなくなり、節目で振り返ることもあまりできずに、日々を安全に過ごすことに精一杯の日々だったように思います。感染者数が落ち着き始め、季節は春めき、年度の締めくくりの時期になってきました。今月末の展示発表会も、いつもと違うやり方で生徒のみなさんの当日の活躍の場はなくなってしまいましたが、その分、各部各グループでの「動画発表」がたくさん盛り込まれているようです。専攻科は、舞台発表で恒例の「ライオンキング」ができなくなりましたが、音楽で練習してきたボディパーカッションの発表用の撮影をしました。一人ひとりライオンキングの舞台衣装を選んで身に付け、曲に合わせて振り付けを披露しています。なかなか楽しめる仕上がりになっていました。是非ご覧いただきたいと思います。

 さて今回は、昨年度、生活自立寮の竹内和子さんとの共同研究で作成した「いただきます! カードゲーム」の実践を行っています、「高等部の課題学習」での様子を紹介したいと思います。

 生活自立寮では、入寮生が一人ずつ順番に朝食のメニューを前日に決めて、買い出しに行く活動をしています。ランチョンマットに主食、主菜、副菜、汁物、飲み物などの配膳図を描き、種類別の写真カードからそれぞれを選んで献立作りをします。高等部でも専攻科でも昼食づくりの調理実習を積み重ねてきていますので、1食分のメニューのイメージはみなさん持っているようで、スムーズに自分の食べたいものを選ぶことができます。材料や簡単な作り方などもカードに書き込んでありますので、翌朝はみそ汁やサラダなど1~2品は調理してもらっています。この活動にヒントを得て、開発を試みたカードゲームです。3人から5人で遊ぶと、盛り上がります。

 簡単な色合わせゲームを基本にしていますので、順番に献立の描いてある絵カードをひいて、ランチョンマットの上に並べていきます。6枚6色揃うと上がりです。このゲームの評価の観点は、

①ルールの理解できるか。(色合わせ  順番  6枚揃えるなど)

②楽しめるか。(6枚揃えたい  勝ちたい   献立を楽しむなど)

③感想を言える。

です。そして一番大事なのは、完成した献立の感想を話し合うことです。例えば、どのメニューが好きか、取り換えたいものはあるか、おいしそう、栄養がいっぱい、ボリューム満点など色々な意見が言えるといいと思います。職員にも試してもらい、いろいろな助言をもらいました。材料やカロリーをカードに記載して、話し合ったり、評価したりするなど、栄養バランスやカロリーも意識できるようになることも加えました。実践では、こんな様子が見られました。

Aさん:栄養バランスチェックシートへの記入もできたが、電卓を使ってカロリー計算をすると、1200カロリーを超えてしまったので「どのカードを変えたいですか?」と聞くと、「ステーキをやめる。」「ウーロン茶にする」と自分でカードを取り変えて、計算をし直した。800台になったので、「○だね」とワークシートに〇を付けた。食材についても緑が多かった。「野菜を食べる!」と言っていた。「ヘルシー」な献立を意識することができてきた。

Bさん:食べることが大好きな様子で、このゲームもだんだん自分からやりたがる様子が見られた。揃えた献立を見て、「ポテトサラダ 好き」と伝え、「ギョウザ」「ミルク」など自分でひいたカードの献立の名前をはっきり言うようになった。カロリー計算は促すと知らん顔しているように見えたが、実は暗算していて、2桁3桁の6つの数字の合計を正解できた。思わず拍手をして褒めるととても嬉しそうにハイタッチをしてきた。思わぬ実力を見せてくれた。

 毎週課題学習に行くことが楽しみになっています。やはり現場の子どもたちからはパワーをもらっていることを強く感じます。高等部専攻科で行っていた調理実習ができなくなった期間でしたので、献立や栄養バランスについて少しでも認識できる教材になっていたらうれしいです。このカードゲームは、まだ改良中ですが、ご興味のある方はお声掛けください。ご家庭でも楽しめると思います。

 

校庭で 群れ咲き競う 黄水仙

2021.2.22