いよいよカレンダーも残り1枚になりました。願いどおりの晴天に恵まれた勤労感謝祭でした。中学部のカレンダーもたくさんご購入いただいたようで、みなさんのご家庭で出番を待っていることと思います。この行事が終わりますと学校も冬支度、生徒たちの下校に合わせて各部教員が落ち葉掃きを始めます。今年は一斉に色づかず散らずという様子です。パラパラと毎日少しずつ舞い落ちます。4時半を過ぎるとすっかり暗くなる園内、各部の灯りが明るさを増してきます。学期末に向けて教職員の体も心も忙しくなっていく時間帯です。事務所には毎日、卒業生からの電話が鳴ります。在校生からの「帰りました。」コールも届きます。しっかり学び・働きました、無事に家に着きましたという知らせはやはりうれしいものです。中には「先生たちに早く帰るように言ってください。」と忠告してくれる電話もあります。優しさに包まれた、ご褒美をもらえる職場だとつくづく思います。
さて、今回は『マカトンサイン親子教室』のお話です。教室を開き5年目になりました。日本マカトン協会や松田先生の協力を得て、家庭にマカトン法を取り入れて欲しいという目標で試行錯誤を繰り返しながら、就学前のお子さんを対象に親子のコミュニケーションを支援することを進めてきました。もともと英国では普及しているノウハウがありましたので、それに倣いながら日本の乳幼児期の子育てに必要であろう言葉を約70語選び親子で学ぶ場と指導プログラムを考案実践してきました。これまでに100組を超える親子の皆さんに参加して頂きました。毎回教室終了時にアンケートを取らせて頂きますが、概ねコミュニケーションの芽生えを感じて頂けた保護者の声を数多くいただき、とても励みになっています。
マカトン法は英国で開発された指導法です。指導すべき言葉は、核語彙といい、生活の拡大に伴い9ステージに分かれ、語彙数も決められています。核語彙にはサインとシンボルがあり、話し言葉と同時に使って進めます。開発されましたのは1970年代、日本では80年代に本校で導入され、実践されてきました。マカトン法はとても視覚的です。英国のマカトン法は英国のサイン言語に基づいていますので、日本のマカトン法は日本手話に由来しているサインが多いです。生活環境に適したサインでなければ意味を獲得する目的が果たせませんので当然日本の生活と繋がるサインを使います。
教室を続けてきて感じることは、お子さんと共感したいという気持ちがもともとの出発点にあり、そこから更にコミュニケーション力をつけていくことが始まるのだということです。だからお子さんが覚えて使う以前にまず親が使う、支援者が使い続けることが何より大切になります。日本人には苦手な方法かもしれませんが、サインを使うことで注目が生まれ、目と目が合い、表情が出て、気持ちを伝えようとする思いが引き出されお子さんの身振りが出てきます。大げさなように見えますが、乳児に対しては自然にやっていることです。そこを意識してやり続けることがまずは必要なのだと思います。
マカトン法セミナーやワークショップにも事業所の職員さんの参加が増え、以前よりも発達支援事業所や就労支援事業所でもマカトンサインは使われるようになってきています。かつて「マカトンサインって旭出だけでしか通用しませんよね?」と質問されたことがありました。その時に、卒業生がその先でも必要であれば使って理解される環境にしていきたいという思いがありました。マカトンサインによって意思を伝えられ、表現が豊かになり、自信に満ちた学校活を送る在校生の為にも、マカトン法が普及していくよう尽力したいと思うこの頃です。
オリオン座 走る先生 足を止む
2018.12.6