2018.04.24

課題学習

 平成30年度が始まりました。今年も学園の桜は見事に咲き揃いましたが、残念ながら花の見頃は春休み中でした。入学式は天気に恵まれ、各部各学年の記念写真は、正門を背景にして撮ることができました。「何故、入学式の時はあの向きで撮るのですか?」と若い職員に聞かれました。毎年恒例の事はなかなか訳を考えずにやり過ごしてしまいますが、おそらく例年入学式の頃は福祉園側の桜が満開の時期だったのでしょう。入学式=満開の桜、取り合わせが抜群のポジションだったからではないかと思います。近年は卒業式に桜が開花し、なかなかベストの条件が揃いません。今年の記念写真も初々しい葉桜がバックになりました。練馬区大泉でも10年単位で振り返ると温暖化がはっきり表れていることが分かります。

 さて今回は「課題学習」のお話です。今年度から、高等部の時間割に「課題学習」が組み込まれました。これまで「クラス総合」や「グループ総合」の時間でしたが、水曜日~金曜日まで帯状にわかり易くし、言語や数量、自然事象、社会事象について一人一人に応じて学ぶ時間になります。

 小学部や中学部では行われていましたので、「どうして高等部は課題学習が無いのですか?」と保護者のみなさんからも数多く質問を受けていたことを思い出します。「本校の学習は全て生活に根ざす学習ですので、学校生活や社会、家庭生活で実践できることをねらっています。例えば、作業学習でも調理実習や買い物学習でも必要な数量やお金の計算、文字の読み書きを学習します。その生徒に応じて身に付けたい読み書きや計算を実際の場面で学習できるようにします。一週間の予定の記入、ワークシートはありますが、市販のダイヤリーが合っている生徒には個別に用意してもらい日常で使用しますし、小遣い帳の記入なども練習していきます。」というようなご説明をさせて頂いたと思います。

 高校生になると個人差も大きくなり、興味関心も多方面から得た情報で左右されます。背伸びをしたい、友達と同等でありたいという気持ちも強くなります。その子に合っているかどうかは別として、ニュースで得た社会の出来事を話題にし、テレビやユーチューブから得た豆知識を披露したくなります。一人一人に応じてという面では、是非そこを大事にしてほしいと思います。同じ課題学習でも持っている今ある力を使って自分の関心事や興味に関わる知識や技術をまとめ発表する力をつけていってほしいと思うからです。文字ではなくても、音声言語ではなくても、「自分はこれが気になって、好きで調べたので、言いたい。」という自分で選んで調べて伝える力を培ってほしいと思います。漢字ばかり気にするのではなく平仮名でもサインでも人それぞれの表現力を積み上げ、自分の気持ちをしっかり伝えることが大切なのだと気付き合う時間にしてもらえたらうれしいです。

 高等部はこれまで、「自分で選ぶ、自分で決める」力をつけることを大事にしてきました。作業学習を選ぶ、役割を選ぶ、余暇活動を選ぶ、クラブ活動を選ぶ、3年生は修学旅行の行先を決めるなどをしています。勿論願いが全部かなうものではないことも経験しながらまとまらない時や迷った時は意見を出して話し合い、相談して決めることを積み重ねてきました。新しい「課題学習」も自己選択、自己決定の力に繋いで行ってほしいと思います。

並ぶ子ら 葉桜揺れて 眼をつむり

                      2018.4.24

 追伸

今年度は、特任教諭として主に専攻科で働かせて頂きます。テーマも尽きてきましたが、思い浮かんだことを書き連ねることは私にとってボケ防止になっているような気もします。今年もお付き合いいただければ幸いです。