色づいた蔦の絡まるバックネット。かつてグランドで盛んに野球が行われていたこともあり、狭い敷地に隣接する建物を守るために設置されたのだと思います。今もキャッチボールやサッカーやキックベースボールを楽しむ生徒が多く、ボール止めの役割をしてくれています。それぞれの場所で各々の役目を果たしているのは人だけでなく施設や設備も同じだと年季を重ねたその姿を見ながら思いました。秋も深まり、小学部のさつまいも畑も収穫の頃となりました。神輿担ぎのリハーサルも終えて、23日の勤労感謝祭に向けて各部の準備も始まっています。
さて今回は「おやじの会」のお話です。平成14年4月、本校の校長に大見川正治先生が就任しました。当時の卒業生の多くの方が関連施設である旭出生産福祉園を就労先として希望していましたが、希望者全員を受け入れてもらうことは施設の規模、定員、そして利用者さんの高齢化などの課題があり難しい状況でした。そのような中で保護者から旭出学園の理念に基づく「生活と仕事の場」を作ることはできないかとの声が上がり、有志の方々により「つくりの会」が発足しました。こうした保護者の動きに対し大見川校長は、「新しい施設を作るには土地、法律、建築など教育以外の様々な事柄が関係してくるので、多種多様な社会経験を持つ父親の力を借りたい」との考えを示しました。まず父親が今以上に旭出学園の教育を知ることや父親同士の交流から始めたいと、平成15年12月20日(土)に呼びかけ、多くの父親にお集まりいただいたことから「おやじの会」は始まりました。
初期の内容は、卒業生を集めての雑談会、バーベキューや餅つき大会を開き親子で楽しむ、学校生活のビデオ観賞会などが記録に残っています。平成18年度からは教頭が窓口となり、代表を選出し、年間活動計画を立て、まず4月に第1回懇親会、勤労感謝祭の模擬店「玉こんにゃく」を出すことが今日まで引き継がれ、後は不定期に勉強会や懇親会を開いてきました。参加者のご意見としては、合宿や修学旅行などの活動を映像などで知りたい、卒業後の進路先などを見学したい、福祉制度などについて勉強会の活動もしていきたい、勤労感謝祭のお店はおやじの交流の場として続けたい、懇親会でおやじ同士の触れ合いを大切にしていきたい等お聞きしました。大見川元校長の提案された「おやじの会」の当初の目標は達成されていると思います。
本校においての保護者の組織である「保護者の会」の前身は「母の会」でした。建学時から旭出学園を支え、維持発展に協力して頂いています。本校への入学を希望される方のほとんどが保護者のみなさまからのお話を直接聞かれていることが多いです。小さな学校の存在意義はそこに通われているお子さんや保護者が満足されているかどうかで決まります。不足はありながらも良い所を認めて頂き、それを相談された方にお伝えして頂いているからこそ、学園は維持されているのだと思います。「保護者の会」と「おやじの会」は、本校の建学の精神である「両親が協力する学園」を実現している両輪です。私立である本学園の今を支え将来を考えるためには、保護者のご理解とご支援が無ければできないことです。これからの学園の未来について、児童生徒の充実した学校生活と卒業生への生涯支援の在り方についても保護者のみなさんの組織である「保護者の会」と「おやじの会」からの活発なご意見とご協力を基に描いていければと思います。幼児期、児童期、思春期、青年期の節目節目での成長を本校に託して頂いている保護者のみなさんにとって、いずれは母校となる旭出学園がニーズに対応した「役割」を果たすところであり続けたいと願います。
天高く 走る雲追う 葉の紅き
2017.11.15