2017.08.08

卒業生の職場巡回

 先月は朝顔が色とりどりに元気に花を広げていました。朝早く出勤した時のご褒美のように迎えてくれました。専攻科の出入り口から中学部の作業室への通路の両側に高等部園芸作業の生徒がプランタを並べてくれました。紐をつたってツルが伸びたくさんの花を咲かせました。この後、種を収穫し「あさひでの顔」として販売を予定しているようです。そろそろ朝顔の花の時はお終いのようです。

 夏休みも後半戦になってまいりました。早く学校に行きたい、早く学校が始まればいいのにと思う気持ちは保護者の方々が強いかもしれません。あと少し、下旬には小学部の登校日、中高は軽井沢合宿、専攻科も13年生の余暇活動、2年生の大利根体験合宿が始まります。もうしばらくお休みを楽しんでください。

 さて今回は「卒業生の職場巡回」のお話です。

 夏休みを中心に、元担任を中心に卒業生の職場を訪ねます。卒業後3年間毎年1度は必ず職場での様子を見せてもらっています。その後もご希望があれば訪問させて頂きますが、年々社会人として成長している様子を見せてもらえることは私たちにとっても喜びです。本人の働きぶりを実際に見ることや会社や事業所の担当の方から本人の様子や現状での課題、今後の見通しなどを伺うのですが、課題解決に学校時代の支援の仕方が役立つこともあれば、学生の頃には考えられない逞しさが身についていて驚くこともあります。基本的には、良い面は活かされていますし、苦手な所は教えてもらったり手伝ってもらいながら出来るようになったことに自信を持ち、経験という釉を漆のように何度も何度も塗り仕上げていき、無駄なく美しい動作が身についていくようです。

  この3年間での高等部専攻科の卒業生は36人います。今年は12名の教員たちで卒業生を訪問します。私も久しぶりに今夏、二人の卒業生を訪問しました。事前にご家庭の連絡しますと、元気に通勤しているとのことでしたので、再会を楽しみに出かけました。Kさんは4月に生活環境が変わったためか体調を崩したそうですが、頑張りたいという気持ちは強く見られました。はじめは自信がなく消極的な姿でしたが、仕事のやり方を覚え自信が付き、流れ作業にも送れずについていけるようになってきたそうです。段ボール箱に点検した品物を詰め梱包する仕事をしていましたが、滞りなく流れるような動作で無駄のない動きで仕事を進める姿に感動しました。「みんなにも見に来てほしい。」と自信たっぷりな様子でした。何より仲間の中で安定している姿と支援員の方々に愛されている様子が見られ、今後の成長に期待が持てました。

 Tさんは新しい環境にも慣れ利用者のみなさんとも自分からアイコンタクトを取り笑顔を見せるなど、とても打ち解けている様子でした。自分のペースで広告の折や丁合の仕事をしていました。自分からできたものを次の方の所に置きに行ったり、材料を取りに行ったり、新たな場所でも自分から仕事を進めている姿が見られました。さおり織の仕事が大好きで3m位の長い織物を見せてもらい、その頑張る姿が想像でき成長を感じました。

 二人とも今がゴールではありませんのでこれから乗り越えなくてはならない山もあるのでしょうが、ご家庭の支えと事業所の方々の理解と支援を得てさらに成長していくことと思います。

  さらに今回はうれしいサプライズが待っていました。偶然10年程前の卒業生の就職先の看板を見つけ、いるかなーと思いながら入ってみたのですが、最初に会った利用者さんに「Uさんいますか。」と聞くと即答「いませーん!」。そうかと諦め、トイレだけお借りしました。トイレから出たところでばったりUさんに会うという驚き。「Uさん、いた!」と声をかけると、「田村先生、これから配達に行くんだ。」と足は止めずに答えてくれました。「元気!」「頑張ってるよ。」「母さんも元気!」と質問には手短に答えてくれながら配達に向かって行きました。Uさんの最後のひとり言が聞こえました。「まさか、配達に行こうとしている時に、身内に会うなんて・・・」そうか、身内なんだ。10年経っても身内と言ってくれる言葉に、少々うるっときました。

 旭出学園を巣立ってがんばっているみなさんへ。

 この夏も良く働いたことでしょう。しっかり休みもとって、よく休んでください。私もそうします。働きぶりを自慢したい時や何か困っていることがある時にはいつでも声をかけてください。またお会いできる日を楽しみにしています。遅ればせながら、

残暑お見舞い申し上げます。

 朝顔や  しぼみて残暑  ここにあり